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仙台高等裁判所 平成8年(行コ)18号 判決

盛岡市大沢川原三丁目七番三-一〇〇五

控訴人

藤原武志

右訴訟代理人弁護士

鶴見祐策

盛岡市本町通三丁目八番三七号

一関税務署長事務承継人

被控訴人

盛岡税務署長 吉田富榮

右指定代理人

阿部修

佐藤富士夫

東京都千代田区霞が関三丁目一番一号

被控訴人

国税不服審判所長 太田幸夫

右指定代理人

藤倉泰光

右両名指定代理人

黒津英明

粟野金順

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  一関税務署長が控訴人に対し平成二年二月二七日付けで行った昭和六三年分の所得税についての更正処分のうち、総所得金額が金三五三万三八四二円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも取り消す。

3  被控訴人国税不服審判所長が平成四年二月七日付けで行った控訴人の審査請求を棄却する旨の裁決はこれを取り消す。

4  控訴費用は第一、第二審とも被控訴人らの負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  当事者双方の主張は、次の二のとおり付加訂正し、三、四を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要等」(原判決三頁九行目から三八頁九行目まで、原判決添付別紙1、2を含む。)のとおりであるから、これを引用する。

二1  原判決四頁二行目から三行目にかけての「被告一関税務署長」を「一関税務署長(控訴人の住所の移転により、被控訴人盛岡税務署長が一関税務署長の事務を承継した。)」と改め、同三行目の「以下、「被告税務署長」という。)」を削除し、右以降の「被告税務署長」をいずれも「一関税務署長」と読み替える(ただし、原判決六頁一〇行目、一一頁二行目、二七頁七行目及び三二頁三行目の各「被告税務署長」は「被控訴人盛岡税務署長」と改める。)。

2  原判決七頁九行目から八頁末行までを次のとおり改める。

「 一関税務署の係官小野寺忠志(以下「小野寺係官」という。)は、平成元年八月二日から平成二年二月二七日までの間、控訴人の自宅へ電話をしたり、自宅へ臨場し、さらには調査日を指定する文書を控訴人の妻藤原由美子(以下「由美子」という。)に手渡すなどして、再三にわたって控訴人の都合のいい日時を連絡して欲しい旨を由美子を介して依頼し、本件税務調査に対し協力を求めていたが、控訴人からは、臨場予定の平成元年九月二八日、今日は都合が悪い、時間に余裕がないので、調査には応じられない旨の電話連絡が一度あったのみで、これ以外に控訴人からは何の連絡もなかったばかりでなく、また、由美子を介しても、多忙につき調査に応じられない旨の回答、調査とは何をするのか等の問い合わせ、あるいは盆には実家に帰るので調査は盆明けにして欲しい旨の申し出があったにすぎず、その都度小野寺係官はこれに対応し、日程調整をしたにもかかわらず、初回の臨場から二か月近く経過するまで、控訴人から臨場日時、臨場場所の指定などの具体的な申し出は一切なかったものであり、また、控訴人の都合がどうしてもつかないのであれば、由美子の立会いのもとで帳簿調査のみでもさせてもらいたい旨の申し入れをしたが、これにも協力が得られず、さらには実家に預けていたという帳簿書類等を自宅に取り寄せるよう依頼したことについても、これを手元に取り寄せるなどした様子は窺われず、控訴人に調査に協力する姿勢は全く見られなかったといわざるをえなかった。

以上のような状況から、一関税務署長は、控訴人の帳簿書類等に基づいて実額で控訴人の所得金額を把握することは困難であると判断し、やむを得ず推計により本件係争年分の農業所得の金額を算定し、本件更正処分を行ったのである。」

3  原判決九頁二行目から一〇頁三行目の「許されるものであるところ、」までを次のとおり改める。

「 税務調査として質問検査が適法に行われるためには、その税務調査と質問検査の必要性と被調査者の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度に止まるものでなければならない。

控訴人は、日常的には、日本貨物鉄道株式会社一関機関区に勤務する電気機関士であり、その車両乗務の日程と時間は前月の二五日にならないと翌月の予定が決まらないという不規則な状態であり、また、労働組合の執行委員と書記長を務めるほか、職場においては労働安全衛生委員会の委員(幹事)の職にあり、この委員会は毎月一回以上開催されるほか、事前の打合せに出席しなければならなかった。したがって、昼夜ともに自分や家族の時間をもつことがままならない状況にあったうえ、耕作すべき農地は、控訴人の当時の自宅から約八〇キロメートル離れた矢巾町に所在し、控訴人としては、勤務の合間のわずかな時間をみて、そこまで出向いて耕作に従事しなければならない状況にあった。

このような控訴人の状態については、由美子から小野寺係官に具体的に説明されており、また、由美子は、同係官に控訴人の職場の電話番号を教えるほか、連絡のとれる時間と場所をその都度伝えていたし、控訴人も小野寺係官に直接電話して、その勤務状況を説明しつつ、勤務時間外なら会えるとか、労働組合の事務所ではどうか、勤務が終わったすぐの時間を見つけて職場ではどうかなどと提案をしていた。しかし、同係官は、五時以降は税務署側の勤務が明けるのでできないなどと言ってこれに応じなかったものである。

小野寺係官は、不在が容易に予測できる控訴人の自宅に無為に臨場するのみであったものであり、控訴人に対する質問検査を適切に行おうとするならば、その所在が特定されている控訴人の待機場所に出向いていくことが可能であったし、控訴人からは面談が可能な時間も伝えられているのであるから、それに合わせた対応も比較的容易であったにもかかわらず、その必要な対応策を何らとることなく、漫然と控訴人が非協力であるかのような外形を整えることに努めたにすぎないものであり、このような税務調査がその方法においても社会通念上相当な範囲を逸脱した不適切なものであることは明らかである。

また、本件確定申告に収支内訳書を添付していなかったからといって、本件税務調査の必要は認められないうえ、」

4  原判決一八頁三行目の次に、改行して以下を加える。

「 なお、控訴人は、控訴人の農業経営の実情は農業協同組合のデータにより十分知ることができると主張するが、農業関係の収支と支出が全て農業協同組合を通じて発生するとはいえないから、農業協同組合のデータ(なかんずく組合員資金勘定)を調査しても農業経営の実情を把握することができず、これを調査したとしても、組合員資金勘定で把握できない収入を支出について別途調査となるが、納税者の調査の協力が得られない場合に、組合員資金勘定で把握できない部分のみの所得金額を推計することが技術的に不可能であることを考慮すると、農業所得全体について推計を行うことはやむを得ないことである。」

5  原判決二一頁一行目の「同(2)」を「同(3)」と改め、同四行目から五行目にかけての「合理性はなく」の次に「(しかも、控訴人の水稲の耕作面積は三一七アールである。)」を加える。

6  原判決三五頁二行目の「が、」の次に「これは国税通則法九八条二項の趣旨に反するものであり、また、」を加える。

7  原判決三八頁八行目の次に、改行して以下を加える。

「 なお、裁決において、原処分と異なる理由により、あるいは、審査請求人の主張する理由と異なる理由によって原処分を維持し、審査請求を棄却することは、数額の増額をもたらすものでない以上、国税通則法九八条二項の不利益変更処分には当たらない。」

三  当審における控訴人の主張

1  推計課税における推計とは、あくまで実際の所得金額を直接証拠によって算定できない場合、それに代わる間接事実をもって認定する方法なのであるから、当該推計が合理的であるか否かは、基本的にはその方法が客観的な実額に近似する蓋然性が最も高いものであるかどうかによって判定されるべきものであり、当該推計の方法が合理的とされるためには、各種の推計方法のうち、それがその具体的な事案に最も最適であること、その用いられる推計方式自体が合理的であること、推計の基礎とされた事実が客観的かつ正確に把握されていることが必要である。

一関税務署長はいわゆる同業者比率法により、控訴人の農業所得金額を算出したという。

しかし、控訴人の所持する帳簿書類によらないで収入と経費を把握するとすれば、農業協同組合の組合員資金勘定によることが最も容易であり、かつ適切である。控訴人は、多忙な勤務のかたわらいわゆる兼業農家として遠距離通農に従事していたもので、水田の管理においても、通常の農業従事者と比べて著しい悪条件を強いられていたのである。控訴人の農業所得を推計するに当たり、類似同業者の比率を適用することは最も不適切であるばかりでなく、推計方式においても著しく不合理であるというべきである。

しかも、被控訴人が主張する類似同業者の経営の実態が明らかにされていないばかりでなく、その実在すらも疑われるものであるが、仮にそれが実在するとしても、それらはいずれも専業農家と認められるところ、農業の場合は、耕作面積が同じでも、労働力の質と量、機械力や肥料等の質と量、土壌の性質、立地条件、水田の地形や水利、日射の程度など環境等の様々な要因によって収穫に大きな差が生じるのであり、その営農の実態をみない限り、異質のものを比較しても全く意味がないというべきであり、また、類似同業者の耕作面積だけの比較から所得金額を類推している点も、収入と経費との関係が比例するような関係がないのが農業の特徴であるから、これらの点においても、一関税務署長の推計は合理性を著しく欠いている。

2  被控訴人らが主張する比準同業者による所得金額の推計よりも、農業所得標準表による算定の法がより合理的というべきであり、農業所得標準表により、控訴人の本件係争年分の稲作収入を試算すると、ほぼ控訴人主張の額となる結果が得られるものであり、この結果に照らしても、控訴人が主張する農業収入以外の収入がありえないことが明らかである。

四  被控訴人らの主張

1  推計課税は、実額課税に代えてやむを得ず行われる所得認定方法であるところ、課税庁が個々の事案において採用しうる推計方法はその基礎となる間接資料のいかんによって制限され、間接資料の収集は納税者の税務調査に対する協力の程度いかんによって大きく左右されるのであるから、推計方法の具体的合理性については常に納税者の協力の程度と相関的に判断されることになるのであり、本件のように、納税者が調査に対する協力を全く行わない場合において、客観的な実額に近似する蓋然性の最も高い推計方法を課税庁に要求することは信義にもとるものとして許されない。

そして、推計の合理性の程度については、一応の合理性を有すれば足りると解され、常に当該事案における最も適切な推計方法でなければ合理性がない旨の控訴人の主張は失当である。

2  水稲における農業所得標準は、原則として、同一地域における同一の地力区分のもとでの水田一〇アール当たりの所得金額を定めたものであって、収入金額を定めているものではないから、これにより収入金額は当然には算定できないものであり、控訴人の主張は農業所得標準表に基づいて計算される農業収入が具体的にいくらであるのかの具体的説明を欠くものとして失当である。

第三証拠

証拠関係は、原審及び当審記録中の書証目録及び証人目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求をいずれも棄却すべきであると判断するが、その理由は、「被告税務署長」を「一関税務署長」と読替え、次の二のとおり改めるほかは、原判決「事実及び理由」の「第三 当裁判所の判断」(原判決三八頁一〇行目から八三頁三行目まで、原判決添付別紙3を含む。)のとおりであるから、これを引用する。

二1  原判決三九頁一行目の「乙一、」の次に「七、」を加え、同二行目の「第一、二回」を「原審第一、二回及び当審」と改める。

2  原判決四〇頁一行目の「していたため、」の次に「列車の乗務と組合活動により、」を加える。

3  原判決四一頁二行目の「本件係争年」を「昭和六三年」と、同五行目の「同月八日」を「同月四日」とそれぞれ改める。

4  原判決五二頁末行の「同申告書」の次に「(乙一)」を加える。

5  原判決五四頁一行目の「社会的に」を「社会通念上」と改め、同頁末行の「から」の次に「(ちなみに、控訴人が主張する実額反証における経費に限ってみても、その主張、立証に照らして、農業協同組合の組合員資金勘定に反映されない支出が少なからず存在することが窺える。)」を加える。

6  原判決五七頁八行目の「共済引受面積」の次に「(乙九の二)」を加える。

7  原判決五八頁四行目の「その旨供述するが、」を「その旨供述し、当審において甲四〇を提出するが、」と改め、同一〇行目の「高いということができるから、」から同一一行目までを「高いということができるところ、乙二七の一、二によると、水田の転作を実施する農業者に対し、転作対象田の面積、作付け作物等の現地確認が毎年六月に実施されているが、作付け作物等によっては現地の再確認を要する場合があり、甲四〇は、再確認を要する農業者に対し、再確認の対象転作田の地番、面積、確認内容、現地再確認の実施日等を通知したものであって、当該農業者の転作田すべてを記載したものではなく、転作田の一部を記載したものであり、控訴人が昭和六三年度に実施した転作田は、乙一〇の二記載のとおりであることが認められるから、控訴人本人の右供述は採用することができない。」と改める。

8  原判決六三頁一〇行目から六四頁四行目までを次のとおり改める。

「 推計課税は、納税者が実額を算定するに足りる帳簿書類などの直接の資料を提出せず税務調査に協力しないため、やむを得ず真実の所得額に近似した額を間接資料により推計し、これをもって真実の所得額と認定する方法であり、実額課税と同様に真実の所得額を認定するための一つの方法であって、課税庁において右推計課税の合理性について立証をした場合には、特段の反証のない限り、右推計課税の方法により算定された額をもって真実の所得額と認定するのであるが、納税者が所得の実額を主張し、推計課税の方法により認定された額が右実額と異なるとして推計課税の違法性を立証するためには、その実額主張にかかる以外の収入がないこと及びその実額主張にかかる必要経費が右実額主張にかかる収入に対応するものであることを合理的な疑いを容れない程度に立証する必要があるというべきである。」

9  原判決六四頁末行の「四三一万一四一五円」を「四三一万一四九五円」と改める。

10  原判決六七頁五行目の次に、改行して以下を加える。

「 控訴人は、当審において、農業所得標準表により本年係争年分の稲作収入を試算すると、ほぼ控訴人主張の額となり、この結果に照らしても、控訴人が主張する農業収入以外の収入がありえない旨主張する。

しかし、稲作における農業所得標準表は、原則として、同一地域における同一の地力区分のもとでの水田一〇アール当たりの所得金額を定めたものであって、収入金額を定めたものではないことが認められ(控訴人当審、弁論の全趣旨)、農業所得標準表によって、収入金額が明らかになるものではないから、控訴人の右主張は採用することができない。」

11  原判決六八頁三行目の「その内訳を」から四行目の「提出されていないこと、」までを、「その内訳については、当審において提出された甲四二、四四の一によっても、労働の日時、日当などその具体的な内容が不明であること、」と改める。

12  原判決七一頁一行目から同頁末行までを次のとおり改める。

「(5) 次に、控訴人は、必要経費に算入すべき減価償却費二〇二万六二三三円の内訳は甲一七の一記載のとおりであるとするが、その中には必要経費として算入することができないか、又は算入することに疑問のある次のようなものが含まれている。

ア 田植機(一二万二一〇〇円)は昭和五七年五月に取得したものである(甲一七の二)から、耐用年数五年を経過しており、これを減価償却することはできない。

イ バックホウ(一九万一七〇〇円)については、北田済宛の領収証(甲一七の一四)が提出されているところ、控訴人は、北田済に購入を依頼したものであると供述し(原審第一回)、さらに甲三八の一を提出する。しかし、購入依頼が事実であったとしても、領収証の宛名が第三者となっていることは、金額が一四〇万円と高額であることに照らしても極めて不自然であり、控訴人が真実購入したものであるのかどうか疑問であるといわざるをえず、北田済が控訴人の従兄弟である(控訴人原審第一回)との関係に照らすと、甲三八の一をもって客観的な裏付けとして直ちに採用することはできない。

ウ スピードスプレーヤー(一六万八七五〇円)については、控訴人は、リンゴ作付けの目的で購入したという(甲三九の一、控訴人当審)が、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、その所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額であり(所得税法三七条)、控訴人は、本年係争年分の収入において、リンゴに係る農業収入を有していないから、控訴人が仮にスピードプレーヤーを真実購入したとしても、そのことから、その右機械についての減価償却費が必要経費として認められるものではない。

エ トラクター(一四万六二五〇円)、トラック(三万円)及びワゴン車(一五万五三七六円)については、これを控訴人が購入したこと及びその金額の裏付けとなる的確な資料がない。なお、甲四一は右トラックに係る証明書と見られるが、控訴人が購入したものとはされていない。」

13  原判決八二頁七行目の「原告は、」の次に「これは法九八条二項」の趣旨に反し、また、」を、同九行目の「しかしながら、」の次に「裁決において、原処分と異なる理由により、あるいは原処分と異なる事実認定によって原処分を維持し、審査請求を棄却することは、数額の増額をもたらすものでない以上、法九八条二項ただし書にいう不利益変更処分には当たらないうえ、また、」をそれぞれ加える。

三  当審における控訴人の主張について

控訴人は、当該推計が合理的であるか否かは、基本的にはその方法が客観的な実額に近似する蓋然性が最も高いものであるかどうかによって判定されるべきものであり、当該推計の方法が合理的とされるためには、各種の推計方法のうち、それその具体的な事案に最も適切であること、その用いられる推計方式自体が合理的であること、推計の基礎とされた事実が客観的かつ正確に把握されていることが必要であるとして、一関税務署長がいわゆる同業者比率法により算出した控訴人の農業所得金額を著しく不合理である旨主張する。

しかし、推計課税は、実額課税に代えてやむを得ず行われる所得認定方法であり、課税庁が個々の事案において採用しうる推計方法はその基礎となる資料のいかんによって制限され、右資料の収集は納税者の税務調査に対する協力の程度いかんによって大きく左右されるのであるから、限られた資料や時間的制約、課税庁の調査能力、納税義務者間の公平などの諸点を考慮し、採用された推計方法が、当該納税義務者の所得金額を認定する方法として、社会通念上一応の合理性が認められるのであれば、当該推計課税は適法であるというべきであって、それ以上に、真実の所得金額認定方法としての合理性を争うことは、主張自体失当というべきであるところ、一関税務署長の推計が一応の合理性が認められることは前記認定のとおりであるから、控訴人の右主張は採用することができない。

四  以上のとおり、控訴人の本訴請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これをいずれも棄却すべきである。

よって、控訴費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 原健三郎 裁判官 伊藤紘基 裁判官 杉山正巳)

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